末廣智明「打撃道」(その3)
末廣智明「打撃道」(その3)
吉祥寺支部の取り組み、小野選手の優勝と打撃技術について
――:では飯村先生に伺いましょう。
この間の小野選手の優勝は、本当におめでとうございした。改めて、どんなご感想ですか。
飯村:運がよかったですね。
--:そういう言い方はちょっと(笑)。実力があったのになかなか勝ち運がなかったのは事実だけど。どういうところが運がよかったですか?
飯村:アローシャ(コノネンコ)が二回戦で棄権してくれて。
--:あ、そうか。それはでかかったなあ。今回の各階級のうちでは、昨年覇者の笹沢選手、アローシャの二人と当たる位置にいた軽重量級の小野選手には本当に過酷なトーナメントでしたよね。彼、仕事もあって引退の覚悟だったって聞いていますが。
飯村:でも打撃だけだったら、勝ったかもしれない。今だったら。
――:師匠なんだから、もうちょっと肩を持って結構ですよ(笑)。
飯村:じゃあ、「打撃だけだったら、勝ったと思う」と修正。もうここ1年くらいは伸びてますね。全然、伸びてますよ。もう全大道塾の現役の選手の中じゃ、うちは打撃ではトップ、ツートップがいますからね。
――:今、空道の中で、飯村先生からご覧になって、どのあたりが打撃の第一線というか、一番必要だと思われますか?最先端の技術ってあるじゃないですか。小野選手は今回突出して優れていたんで、違いが吉祥寺からは見えてるんじゃないですか。どこが大事なんでしょうか。
飯村:いや、地道な練習ですよ。小野もやっぱり週5日くらいは練習やってましたからね。ハードな練習を。精度を高めるだけの。
精度を高めるっていう練習はすごく大事なんですよ。打撃っていうのはもう精度に尽きます。だから勝ったんだと思いますよ。
--:精度を高めるのはミットで?
飯村:ミットであり、シャドーでもサンドバックでもそうです。
--:基本に忠実ということですか。
飯村:うちはもう、すんごく「基本」にうるさいですよ。
--:小野選手の方はどの程度スパーはやっておられたんですか。
飯村:来た時は必ずマススパーはやってましたね
--:グローブじゃなくて、面を付ける方で?
飯村:面の方ですね。試合に則した練習をするのがうちのやり方なんで。
組み技にどう取り組むか
--:この間の大会では、やっぱり目立って小野選手の打撃はレベル高かったですね。今の空道の中では、ムエタイ的なものは腰高だしあまり通用しないんじゃないかという声もあったわけですが。
飯村:えっ!誰が言ってるんですか。
--:いや、ヤジが飛んでいたんで。「これは空道だぞ~」って。T君かな?支部長さんの。それに今回の審査で、移動は前屈が基本だっていうことになったし(一同 笑。首をうなだれる飯村支部長)。
しかし僕が拝見している限りでは、やっぱり吉祥寺の戦い方は空道だと思うんですよ。別に自分から投げに行くのが空道なんじゃなくて、投げられなければいいんだし、飯村さんなんてキックのプロ選手を片っ端から足払いでこかしていますし。
末廣:そうそう。僕がスパーする前に、支部長が心を折ってくれてました。
――:あれ、嫌になるだろうなぁ。私は空道の組み技には柔道と首相撲の二つがあると思うんですよ。首相撲でスカして投げる技術は凄いですし、しっかり稽古すれば投げられなくもなりますよね。それに寝技だって、30秒間しのげれば空道ですから。そういう意味ではずい分防御は研究されたと思うんですけど、寝技も組みも。
飯村:吉祥寺支部っていうと打撃しかやってないだろうって思われがちですけど、結構組み技やるんですよ。
--:だって、修斗の世界チャンピオンが2人も教えに来てるじゃないですか。
飯村:青木(真也)君は教えには来てくれてるけど、マモルは飲みだけで・・・(笑)だけどまあたまにセミナーみたいな感じで来るし、あと柔術紫帯の人なんかも来たりしますね。
--:僕、青木選手のDVD、買ったばかりです(『跳関十段』)。
飯村:今日も来てましたよ。
――:そこらへんのところは表面には出てないけれども、寝技もよくやってるということですね。組み技の防御その他、着々と研究は進んでいると。
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