清水和磨「ラスト・サムライ in 空道」(その3)
清水:その部分は何もないです。
–:何もなくって、お金ももらえなくって、で面つけて顔が見えなくて…、何もここに来る理由がないと思うんだよね。それは人情として当たり前でしょう。僕だって、人生賭けてやりたい人には勧めないな。その意味でも藤松君は特殊なんだろうけれども。
ただねえ、マスコミに出ないって言ってもね、先方だって情報を売って商売にしているわけだから、人手を割かなくていいなら、載せたいんだよ。マスコミには当日にこちらから結果をFAXすればいいだけだし。かかってきた電話はちゃんと対応すればいいんだし。それを対応しないから、載せてくれなくなっただけで、自分で拒否しているようなものでしょう。僕自身はマスコミで仕事しているけど、普通にしているだけで仕事は回ってきますよ。僕程度でも雑誌で評論とかするわけだから。半日記者を煩わせれば二ページが埋まるんだから、誠意もって面白い話題を提供すればいくらでも載せてくれますよ。それを見て寮生もやってきたんじゃないかな。
清水:そういうの必要ないっていうほどメジャーになってないというか・・・僕が大道塾を知ったのは、市原先輩が優勝したときだったわけですよ。それは何でかっていうと、すごく露出してたんで。だからこそ気づいた訳じゃないですか。もし今みたいなら、多分すぐには惹かれたりしなかったと思うんですよ。若い二十歳そこそこの連中が、ばっと惹かれるというのは最初それだと思うんですよ。
–:最初は素人なんだからね。当然。
清水:だから、最初はそれでいいと思うんですよ。入り口は。入ってからだんだん変えていけばいいだけの話で。だから入り口にまでも入ってこない感じですかね、今は。
–:その時に思った、清水君が大事に思ってる挌闘空手ってどんなもんですか。まあがんがんやったことは一番なんだろうけど。他に精神とか何かありますか?
清水:やっぱり当時の先輩達に比べると、今の選手って、強くなる方法を練習してはいるんですよ。でも、自分で考えないんですよね。自分で試合に出た時どうするかっていうのは、例えばベンチプレスやるとかミットやるとかそうじゃなくて、そっから上のことを考えなきゃいけない訳じゃないですか。戦術をどうするかとか。ミットの蹴り方をどうするかとか。重りを挙げるにはどうするかとか。そこまで全然頭が働かないですよね。そもそも自主トレやらないですからね。定時で週2回やって試合出る訳ですよ。一般で北斗旗予選に出るのに週4時間ですからね・・・。
–:僕の半分だな、そりゃ。
清水;だから彼らの「試合に出る」っていうのは何なのかなと思うんですよ。 だって練習してないから。ほんと一生懸命やって負けたら残念だったなとか惜しかったなって言えるし、ほんとに一生懸命練習してるやつが怪我したら「大丈夫か!?」とか言えるけど、今のやつら怪我して負けても「そりゃあ無理でしょ」って言うしかないですから。
–:飯村さんも言ってるけど、毎日来ない奴は稽古したうちに入んないと。あのいわゆる技術派だと思われてる飯村さんが、強くなるにはどうしたらいいかと聞かれて、「稽古することだ」って答えるんです。シンプルですね。
清水:飯村先輩がそう言うのはわかります。自分は大道塾好きだし。飯村先輩も好きだと思うんですよ。いろいろ言ってても・・・
–:いや飯村さんも加藤さんも大道塾がすごく好きなんだよ。加藤さんが他流にコロコロ負けた選手に怒ってるのだって、好きだからこそだから。過去の大道塾のタイトルを取ったことにはプライドがあるからね。
清水:でも、今もそういうふうに思ってやってる人間もいるってことだけは、分かってほしいです。
–:その通りですね。しかし他流になめられたくない人は、清水君も含めて、だからこそ出稽古で他流とガチで稽古しているわけでしょ。それで内部には苦言を呈してるわけだからね。内部では飯村さんや加藤さんはキックに見えるかもしれないけど、外から見たら、飯村さんと加藤さん(と映像の中の藤松君)が大道塾なんだからね。彼らが大道塾の看板として出稽古して、相手から「これは強い」と思われているんだから。他の人については、格闘技界ではほとんど話題にもなっていない。
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