清水和磨「ラスト・サムライ in 空道」

2006無差別を振り返って。平塚選手は・・

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前置きがちょっと長くなっちゃいましたが、そういうわけで、この前の大会から伺いたいんですが。繰り返すと、僕の印象のまず1つめは、上位の5人、笹沢、清水、藤松、稲田(卓也)と平塚、この5人は抜けてるということです。別の言い方をすれば、ベスト8は一発があるんだけど、さらに5人は「穴がない」っていうことなんだけど、それについてはどう思いますか。実際に闘っている選手としてはどういうふうに感じているんですか?

清水:そんなに強いんですかねえ、わかんないですけど。自分は今回平塚と勝(早稲田)と初めて当たって、あんな感じで後輩と直接激突するっていうのは初めてですから。その辺はよかったんですけど。勝は初めてなんで、しょうがないでしょうねえ。一段一段勝ち上がっていって、ああよかったっていう感じだけだったと思うんで。でも、平塚はどうしたのかな…って。まだ本人に聞いてはいないんですけど、あの日はなんか…

–:様子が変だったね。僕はちょっと立ち話したんだけど、その時は冷静だったのに。

清水:そうですね。なんかあんまり倒そうとしてこないんですよ。慎重になってたのもあると思いますけど、やっててすごく楽で、全く負ける気がしなかったです。で、なんでだろなと思って。うーん、まあ、彼がいろいろと考えてるのはわかったんですけど、最後かもしれないわけじゃないですか。直接、自分と当たるのって。大道塾って歴史的にそうなんですけど、直接先輩を叩いて世代交代するチャンスは中々ないんですよ。

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平塚洋二郎選手

–:市原・長田戦だって、結局市原さんが黄帯で北斗旗に出た時に1回あるだけでしたからね。

清水:そうなんですよ。だからなんて言うんですかねえ、もう自分とかを倒せば、「清水を倒した」っていう結果が残るわけじゃないですか。なんで、なんか理由があるにしても、「この野郎」ってこっちが思うくらいやってきてほしかったですね。

–:それでも平塚君は、その「下」の選手たちよりは断然格上だったでしょ?

清水:ああ、それは全然、上です。ただそれは上って言っても、今の北斗旗は昔だったら絶対出られない選手も出てきてるわけですよ。自分は無差別に初めて出た時は嬉しくてですね。昔は、無差別予選で3回勝たなきゃ出られることが確定しなくて。

–:黒木(マグナム・トーキョーの)にしても、寮生なのに結局は全国大会には出られなかったよね。それくらいの難関だった。

清水:3回ですよ。無差別予選3回勝つって中々難しいですよ。あの頃は関東予選で60人以上出てた事もありましたから。

–:今回、予選で一勝もしてない選手が3人いましたよね。

清水:でもそれも、選手に罪はないんですよね。出場枠を満たすために出てもらわなきゃ大会が成立しないし、ただやっぱり、試合を見に来た人に「何だこれ」って思われるのは自分は絶対いやなんで。自分はその気持ちだけはあるんですよ。他の選手の人たちにはあんのかな、わかんないですけど、多分あんまりないと思うんです、そんなに強くは。

–:まあみんな、ほんとに目の前の試合だけで精一杯という感じだった。で、新人が多数出てきてくれたのは結構なことなんだけれども。平塚にしても、それから笹沢もこの2、3年で出てきた選手だから、大学の四年生だけどまだ新人から中堅あたりですよね。笹沢君は予選で他流に負けたけどそんなに悔しがってる風でもないし、昔はそういう意味では先輩とあたったらがーーっと行くとかさ、他流派に負けるなんてとんでもないことだったでしょ。加藤(清尚)さんなんか、ライアン・シムソンとやって、勝てなかったけど当時打撃では日本最強と言われたシュート・ボクシングの吉鷹選手に「ハートが強い」って絶賛されましたよね。だからああいった淡泊さは信じられないことですよ、昔で言ったら。みんな死に物狂いで食らいついていった。そういうのが上位5人の中に入っている平塚や笹沢にも薄い気がするんだけど、これはどういうことなんだろう?

清水:いや、ありはするんですけど、もっともっと欲しいですよね。トップな訳じゃないですか。藤松は別格としても、平塚は超級でチャンピオンなんですから、大道塾のトップな訳ですよ。笹沢も軽重ではそういう立場の選手だし・・・それを言うとなんて言うんですかね…、いろいろなものを押しつけちゃう形になるから大変だとは思うんですけど。

Posted by 佐藤@那覇道場