藤松泰通「試合」を語る
聞き手:松原隆一郎(観客:ビジネスマンクラス有志)
テープ起こし:嶋直美(5号)
2006年3月11日 於「さくら」
--これから大きく3つに分けてお話を伺います。1つ目は、昨年の世界大会を中心として試合の話です。2つ目は藤松選手の独特な武道観というか組手ですね。それが何なのか、聞きたい方は多いでしょうね。ひょっとして年配者でも出来る、女性でも出来るといった組手なら、我々も練習してみたいですよね。そして3つ目は、今年は独立して支部を開くお考えだと聞いています。私生活も含めて、これからどういう活動を目指されるのでしょうか。
それで、1つ目です。世界大会についてマスコミ等で報道されていた部分はありましたが、量的にも十分ではなかったと思いますので、一から伺います。振り返ってみて世界大会については、どんな感想を持たれましたか?まず全体から。
藤松:雑誌のインタビューでも言いましたけど、70%ぐらいですかね、成功かどうかって言ったら。試合で勝てたっていうのは大事なんですけど…
--残りの30%っていうのは?
藤松:運営の面ですね。もうずーっと言っていますけど。
--いやあ、ほとんど上空から試合場を見下ろしてる感じですね。選手なのに運営まで気を回していたんですか。運営については私もいろいろと感想がありますが、まあ今日は、試合に関してだけにしましょう。確か、前回も今回もそれぞれ四戦フルに戦ったのは藤松君だけだったよね?
藤松:はい。
--前は2回戦目で前歯を折られたんでしたよね。
藤松:そうです。今回、重量級で準優勝したゴルバチョフ・イワン。
--えーっ、あいつだったっけ?
藤松:あいつです。あいつに歯折られたんです。3本。
--前回は、腕ひしぎ十字固めで勝ったんだよね?
藤松:そうです。
--ありゃー、そうですか。前回、終わった時に一番強かったのは二回戦の奴だって言ってたよねえ。あいつだったのか。
藤松:前回、「これは、つえーわー」って思ったんですよ。
--前回は、どこが強いと思ったの?
藤松:いや、もうパンチとか全然、違いますよね。
--あれは懐が深いって感じなの?今回はどこが変わったんだろ?
藤松:そうですね。前回も「あれ?これは強いぞ」と思ってたんですけど。今回はあか抜けたなって感じですね。洗練された感じです。前は荒削りだったんですけど。パンチはすごいですよ。別次元なんですよ。
--遠くからパンチが伸びてくるってこと?
藤松:言ってもわからないぐらいの次元の違いがあってですね…もう、肉食動物と草食動物なんですよ。ぜんっぜん違うんです。
--連続でがんがん打ち込んでくるとかって感じ?
藤松:いや、そうじゃなくって、こっちが完全に獲物なんです。
--え、何?前に出てきて追いつめられるとかじゃなくって?
藤松:圧倒的差があるんです。ライオンに見られてるみたいな感じ。エサなんですよ。
--ありゃー。自分が得物になって食われちゃうんだ。
藤松:そう思いましたよ。っていうか、体がそうなっちゃってるんです。びびっちゃうんです。体はびびっちゃってるんですけど、気持ちはそうなっちゃいかんと思ってがんばるんですよ。
--そこは、どういう気持ちの操作をするの?
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