藤松泰通「試合」を語る
藤松:階級制だからですよ。日本人は、キックもいるじゃないですか?でもロシア人には軽量級っていないんですよ。でかい方がいっぱいいるわけですよ。だから、強くなるって決まってますよ。
--ヨーロッパ人は、今のところ層が薄いってことですか。もっと出てきますかね?これから層が厚くなると。
藤松:そうですね。軽量級、中量級は大丈夫ですけど、超級・重量級は難しいですよね。だって外人は超級、重量級が多いわけじゃないですか?人数にしても。だから日本人は軽量級の方が多いですから勝てますけど…
--じゃ、日本人の重量級はどう違うの?日本人は、でかくて、太っていると鈍いってところがあるじゃないですか?ではなくて、動きのキレとか…
藤松:いやもう全然違いますよ。だから、運動神経があってデカイってことですよ。
--運動神経が軽いクラスくらいと同じくらいあって、デカイと。
藤松:これは、もうタチが悪いですね。っていうか、どうしようもないです。これは。
ラルサノフの話なんですけどね。チェチェンで大統領のSPかなんかやってるんですよ。アイツは負けると商売にかかわるわけですね。だから納得しないから、もう1回やるって来たんですよ。チェチェンで日本人と5対5マッチやりたいとか言って。ギャラをはずむから来て欲しいって言ってきた。平和の祭典とかいう場でやりたいっていうんですけど、テロリストが狙う格好の的ですよね。それで断りましたけど。
--ラルサノフはチェチェンが戦争しているロシアに行っても優勝しているから度胸は凄いよね。
で、藤松選手は今は前回闘ったゴルバチョフや今回のラルサノフに対してどう思われますか?何か希望はありますか?
藤松:一緒に練習したいですね。
--塾長がね、日本人を次の大会まで強くするにはどうしたらいいかっておっしゃるんだけど、結果からいけば端的にロシア人とやったことがある選手だけが勝ってるわけだから、2年間ロシアに出して練習してこい!と言うしかないでしょ。
藤松:んーそうですね。
--:心構えも経験も…練習してれば、それで済んでただけのことじゃないかと思うんだけれども…練習したいってそういうことですか。
藤松:んー面白いんじゃないですか?
--日本の柔道は練習したらばれちゃうから嫌だとか、そういう狭い根性でやってたら、88年のソウル五輪で大敗しちゃった。それで山下が改革して、外国に出てどんどん練習してくようになったら勝つようになったんだけど…藤松君は行って、かえって自分の技がばれちゃって嫌だとか、そういうのはないの?
藤松:ないですね。ばれても分かることじゃないですから大丈夫ですよ。見えないものですから。全然大丈夫です。
--見てわかるようじゃ、甘いと。
藤松:っていうか、ボクシングとかは見てわかるから研究されて負けるわけじゃないですか。自分の場合は見えないところだから、わからないですもん。見てもらっても、ぜったいわからないです。いくら研究されても構わないです。
--それでは決勝ですが。えーと、どちらが勝っても日本人が勝つわけですしね。
藤松:負けてもいいて思ってるぐらいでしたから。
--何か平塚と2人で遺書を書こうとしたって?それぐらいの気持ちだったらしいですね。
藤松:んーそうですね。
--あと、僕が聞きたいのは世界大会で2回勝って、その間、怪我もされて、やっぱり藤松君は前に頭の怪我をしたので、僕らとしては今回出て頂くことについてですね…皆さんどう思っているのかわからないけれども、僕は負い目あるっていうか、大道塾の看板背負うために非常に危険な大会に出てね、もう一回強いパンチもらったら…命に関わるのに…よくやって頂いたなと感謝したいと思います。
ご自分では、その件に関してはどう思っているんですか?それがあって組手を変えたわけでしょ?
藤松:そうですね。でも、なるべくしてなったんです。あのままやってたらロシア人に勝ててなかったですもん。
--稲垣スタイルでド突合いして…
藤松:稲垣先輩だから、できるんですよ。
--…ちなみに稲垣さんという人はどういう人ですか?
藤松:稲垣先輩ですか…北斗の拳のラオウの格好がよく似合う…。こういう(多数笑)
--前の世界大会で1つロシア人より試合が多くてさ、決勝でロシア人に打ち勝ってるじゃない、あれは、どういうことなんだろ。
藤松:稲垣先輩とスパーリングした人だったらわかると思いますけど、殴っても効かないですよ、基本的に。殴ってる方が押されるっていう。
--塗り壁みたいだよな。日本人では珍しい?
藤松:いないっすね。いないっす。だから、今のところ稲垣先輩が一番練習になりますもんね。ルールは「お前が倒れるか、俺が死ぬか」なんですよ。スパーリングでも。常に命がかかってるわけです。
--僕らにも、それを要求するからひどいよねえ。僕なんか、新潟の震災で道場が揺れたのに気がつかなかったんだよ。スパーでぶっとばされてて。「何言ってるんだ、この人はー!!!」って思うよね。
藤松:だから、やべー死にたくねーしなーって。
--いつ頃から稲垣さんとの稽古で何とかなるようになったの?
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