清水和磨「ラスト・サムライ in 空道」(その2)
清水和磨「ラスト・サムライ in 空道」(その2)
藤松流武術をどう見るか
–:それはフルスパーだからじゃないのかなあ。軽くだったら毎日でも平静にできるような気もするんだけど。もっとも、若い時期はがんがんやった方がいいとは思います。いったん、いやな時もやっておかないと、試合で気持ちがついて行かなくてもやるときはやるしかないからね。
それにしても、久々でしたね。あんなに盛り上がった決勝ってなかった。また終わり方が劇的だったんですけども、藤松選手をあそこまで本戦で追いつめたのは、ここ数年の日本人では久しくなかったんでね。それで本戦のあの右ストレートはどうだったの?ガツーンと来たよね。
清水:あまり覚えてないんですよ。確かに当たったとは思ったんですけど。効果になるような当たりだったら普通はそんな気がするんですけど、その時はちょっとわからなかったですね。あの試合は、細かいところは覚えてないです。必死だったんで。ほんとに隙がないんですよ。
だから平塚とやった時にはドロップキックみたいなのも出せたじゃないですか。 あれも藤松とやったら出せないです。大丈夫だと思ってるから、やってるとこがあるんですよ。藤松とやった時はほんと遊びの要素が…遊びの要素ってのも変ですけど、その余計なことができないんで。ほんとに最短で当てるにはどうするかってことしか出来なかったんで。となるとやっぱ自分はローキックですよね。
ローキックだけはぱっと先に当てられる技ですから。比較的、足の方が当たるってのは藤松と練習した時にわかってたんで。これも次はやれるかどうかわからないんですけど、だから自分の手としては蹴ってくっていう。ただ単純に距離的な問題だけじゃないんですけど。
–:小川英樹っていう選手は、単に技術だけが強いんじゃなくて、精神的に相手を追いつめたりするじゃないですか。足払いして恥をかかせたり、相手がそれでカーッとなって突っ込んできたらひっくり返すとかして、ますます頭がもうでんぐり返るようにしちゃうとか。
藤松もそういうところあると思うんだけど、今回初めて清水君が先にポイント取ったでしょ。それで藤松がそういう追いつめ方をできなくなったんで、会場は沸きました。
藤松は一体ここで何をやるんだろうって。彼は間合い合戦みたいなことを日拳相手の時はやらなかったでしょ?自分よりパンチのレベルが低いと思ったらああいう間合い合戦に持ち込んで、自分が一方的にうつようなことやるんだけど、それができずに組みに行っても自分が一方的に勝っているわけでもない清水君に対して、延長で一体どうなるんだろうって。
それで延長はどんな感じだったのか教えてほしいんですけど。
清水:とにかく勝つとか負けるっていうのはあまり考えてられないくらいでしたね。ほんと、いっぱいいっぱいだったんで。今出来ることをやるっていうだけでした。ただ、行けそうな気はしたんです。組んだ時も、一回ガードになった時も、あ、これなら取られないなと思ったし、組んでも投げられることはないと思った。
やっぱりこう、ガンてやった時は絶対大丈夫だって思ったんで。組んで大丈夫なんだから、後はパンチを当てられないで打ち合ってれば、あのままで勝ってたじゃないですか。今思えば。だけど、息が全く切れてなかったですよね。延長入る時に。
–:藤松君はこの数年間、息が全くあがってないよ。
清水:それはそうなんですけど、あの試合は結構動いてたわけじゃないですか。それでもやっぱり…あいつとしてはいつも通りなんですけど。でもそれをちらっと見た瞬間に「やばいな」って思っちゃったんですよね。自分もそんなにいっぱいいっぱいじゃなかったですけど、息は上がってて、向こうは全然涼しい顔してるじゃないですか。
–:でも、そう思ってること自体がすでに彼のペースになってるんじゃない?
清水:いやそうですけど、実際そうじゃないですか 。
–:それはそうなんだけどねえ。でも何か変な分析をしたら、彼のペースにのっちゃうんじゃないの? 藤松は、心理的に追いつめるところにあるから・・
清水:そ、そうですけど、普通の感覚じゃないですか。あーあいつ楽そうだなって思って・・
–:でも脇から僕らが見る限りでは、藤松は間合い合戦はやめることにしたようだったよ。
清水:そうですね。最初見た時に流れが変わって、空気が変わったんですよね。
–:藤松君は本戦で膠着したときは、延長までの時間で、顎に手を当てて、「はてな」みたいな顔をするんだよ。去年の春の予選で日拳の選手とやって、延長で組みから寝技に持ち込んだけど、あの時も考えて、流れを変えたんだよ。何か考えてるんでしょうね。全然違うことするのを。
清水:とはいえ最後はきちっと決まるじゃないですか。あれがやっぱり ・・
–:そこを教えてほしい訳。どんな感じだったの。
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