清水和磨「ラスト・サムライ in 空道」(その2)

2017年6月23日

–:それで技術なんだかよくわからなけど、金縛りにあってしまったと。

清水:そうですね。これはもう言わないというか、これで終わりです。自分には事実ということだけははっきり言っておきます。

–:いわゆる柔道のただの大外じゃないということですね。

清水:信じない人と信じる人、完璧にわかれますね7:3か8:2くらいで。当然ですよ信じない人にしてみれば「昨日スカイフィッシュ見たよ」って言ってるようなもんでしょうから・・・。
–:僕もあれは柔道じゃないと思う。藤松君を学芸大に連れて行って、インターハイに出た選手たちと一時間連続で乱取りしたんだけど、全然投げられないんだよ。オリンピックのコーチが最初は「軽く投げてやれ~」とか言ってたのに、次第にあきれちゃって。藤松君はしかも、その時に稽古をしたことも忘れちゃったらしい。なんというか。

清水:大外じゃないですよ。今自分がDVDを単純に第三者的に見て「何してんのかな」と思いましたよ。腕十字だって、あれで取られないですよ、普通だったら。だけどあの時は取られたんですよ。普通はああいう状況で負けたら何してんだろと後悔してるんですけど、あの試合に関しては、それは全くないです。

–:膝十字も怪我さしたし、無差別でみんなに怪我させてるもんね、藤松選手は。

清水:膝十字は自分現場で見てて「うわーシャレになんねえなこいつ」と思ったら、DVDで見たらタップした瞬間に離してるんですよ。だから、叩いてるのに締めまくったとかそういうんじゃないんです。
この相手の今里選手は試合中気合が伝わってきて凄く良かったですね。最近の選手では久しぶりに感じました。

–:でも清水選手の今回の戦いと藤松選手のとでは、陽と陰っていうか、藤松はある種「陰」みたいな試合をするので、気迫をこめて清水君が追いつめてくれたから盛り上がりましたね。藤松君にはそういう客の共感を呼ぶところが薄いから・・

清水:でも笹沢戦とかは盛り上がったんじゃないですか? 会場の感覚ってのはわかんないんですけど。座って見ないと。

–:おもしろかったのは、笹沢がジャブで牽制したことでしたね。ずーっとジャブ出し続けたんで、藤松君の間合い合戦にのらなかった訳です。間合い合戦にのったら藤松君は何ということもなく勝っちゃうだろうから。

清水:考えてましたよね。他の選手と違って。他の選手はあまり考えてない・・・というか見当違いなんです。

–:笹沢は柔道に関しては藤松より実績が上だからね。寝技も変わんないと思う。それ「だけ」を取れば。だから笹沢としては、打撃を凌いだら何とかなるって考えたんじゃないかと思うんだよね。藤松君のペースにのらないように延々とぐるぐるまわってずーっとジャブ出してたんで、藤松君が間合い合戦はできなくなっちゃった。でもそれでも難なく終わっちゃったから、やっぱり藤松はすごいなー、とは思うんだけどね。

清水:高松先輩も言ってたんですけど、あのローキック、受ける相手が素人みたいな受け方してました。ちゃんと技術を持ってる選手なのに、腿の裏で素人みたいに受けてたり。あれとかも不思議ですよね。

–:タイミング的には相手が動けない時に狙ってるんでしょ、きっと。前足を下ろして動けなくなる瞬間に。それは僕もわかるんだけどね、だけど藤松君がすごいのは、あれと全く同じフォームでハイを蹴るし、パンチもミドルも蹴ったりするじゃないですか。昨日基本を一緒にやったんだけど、正面で見てたら前蹴りなんだよね、彼の回し蹴りのフォームは。普通の前蹴りに見える。

清水:最近変わったんじゃないですか?

–:でもあれ、T師範だったら基本のチェックで×つけるんじゃないかな?

清水:大道塾の教本通りにやってる基本かどうかって言ったらだめでしょうね。

–:最短距離で蹴ってるから、きっと前蹴りに見えてもどこかを回してるんじゃないか。回してる部分が普通と全く違うので、正面から見てると前蹴りなんじゃないかな。

清水:違うものにならざるを得ないんですよね。例えば肩を入れるのが普通の右ストレートなのに、「武術空手」では入れちゃいけない訳ですからね。

–:あれは何を言っているのかなあ。甲野さんの古武術の本やそれから派生した本を何冊か読んだんですけど、そこで言われているのは筋肉でひねったりねじったりしちゃいけない、骨格を平行にずらすんだということですよね。だから軸を中心に骨をずらすようにして動くっていうことじゃないのかなあ。古武術で解釈すると、昔、柴田国明っていう世界チャンプのボクサーがいたんだけど、そのアッパーは理にかなっていると・・・

清水:いやでもあれですよ、何かと同じものではないらしいんですよ。

–:そうらしいね。だとすると、藤松君がやってるのは、甲野さんから派生している古武術なんかとは違うっていうことになるのかな。だけど骨格で動くと、運動量がはるかに少なくなるのは間違いないんですよ。

清水:それも思いますよね。だけど、そういう説明が出来ないくらい疲れないんですよ。絶対ありえないくらいに。だたミットとかやるときついらしいですけどね。合宿の時には、世界大会の試合後よりきつかったって言ってました。ランニングとかも。

–:だけどそのランニングとかにしても、ナンバで走ると疲れないって言うじゃない?でも、あれで走ると太ももだけはきついよ。前傾して体重を使うから前に進むことは楽なんだけど、その代わり落ちる上体を全部太ももで受けるから、太ももがめちゃめちゃきついんだよね。普通は太ももを持ち上げて走るわけでしょ。じゃなくて受け止めて走るわけだから、そっちのきつさはすごい。そういう意味では汗かく。でも藤松君は汗をかかないからなあ。別のことをやってるんだろうね。

大道塾の指導は元々、ウェイトやって筋量を増やしてスタミナつけて技術を上回るっていうことになるんだけど、それだとビジネスマンクラスみたいな高齢者は若い者に勝てないじゃないですか。だから、筋肉でひねったりねじったりしちゃいけないという教え方は魅力的なんだよね。疲れないっていうのは。

清水:稽古は作り直さないとだめですよね。なぜなら、初期のルールと比べたら違う競技ですから、でも稽古方法はまったく同じで、今意志がバラバラじゃないですか。稽古方針でぶつかってるってこともあるんですけど、強くなってく方法って一人ずつ違うんですよ。大道塾の基本やって大道塾の移動やって、基本ルールからやって、4級とって顔面ルールになって、で強かったら、多分紛糾しないと思うんですよ。ところが勝った人の中にそれを全くやってなくて強くなった人もいたりするから何が正しいのかってなってぶつかってる部分があります。

–:僕は見ての通りストレッチも全部入れ替えちゃったからね。クラスごとに違うので僕はいいと思うけどな。みんな勝手にやれば。いままでのストレッチとかは若くて体の柔らかい人にはいいかもしれないけど、固くなってる僕らにはきかないからね。

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