清水和磨「ラスト・サムライ in 空道」(その2)

清水:今あいつのやってることって、実在する術理なんですよ。やればわかりますけど否定できないんですよ。

–:でも、あれをできた人は他にいないでしょ?だから藤松が自分で出来てるだけですよ。

清水:それはそうですよ。でも、避けられないですよ。だって自分もあらゆることをやってきて、いろんな稽古もやったし、強い人とも練習してきたし、その上で回避不可って言ってるんだから信じてほしいですね。ちょっと。

–:いや僕は何も否定してないよ。

清水:他の人達ですよ。雑誌とか。全然わかってないですよ。

–:だけど否定も何も、彼はみんなに見せてるじゃない。

清水:あれはただの大外だっていう捉え方をしてるじゃないですか。ただの大外じゃないんですよ。

–:ああ、そのことかあ。それはその前の組み手から全部そうじゃない?仕掛けてあるんだと思う。どうやってるかは分からないけど。だけどさ、1つ聞きたいのは、藤松選手はノックアウトはないよね、パンチでは。あれはどうなの?

清水:そうですよね。だけど、まだ入り口らしいんですよ。藤松は、やろうとしていることの入り口に到達したっていうかその程度なんですよ。あいつは自分で言ってるんですけど「白帯」なんですよ。白帯レベルで・・

–:あそこまで行くんだ。

清水:勝てないわけですよ。うちらは。それに、今でもかなり強くなっていってるのがわかるんですよ。そう言っちゃだめだって気持ちもわかるんですけど、自分だってある程度やってみて、気のせいとかある訳ないんですよ。

–:僕は別に気のせいとか思ってないよ。清水君は藤松君がやっている武術はやらないの?

清水:いや自分がやるんなら、今までやってきたことをゼロにしなきゃいけない訳ですよ。全く関係ないというか逆なんで。・・・らしいんですけど。

–:いいんじゃない、それで。強くなれるんだったら。

清水:そりゃそうですけど、今を捨てきれないで中途半端な気持ちでやっても、強くなれないわけじゃないですか。
以前稲垣先輩と話してたんですけど、やっぱ試合とかでも人生の一部分ですからね。 実際は、自分はほかに何をどうすんのかとか考えなきゃいけないじゃないですか。終わった後に何にもないわけですからね。ハッキリ言ってもう遅いくらいですけど。自分の、この先です。ちゃんと考えないと。
本当は強くなるという事と同時にそんな部分も解決するようなものが理想だと思います。

–:なるほど。だから、全部捨ててやり直している場合じゃない、と。
では、藤松戦に戻して、組みにきた瞬間は、どんな意識でいた訳ですか?

清水:普通に距離とかつめてくるじゃないですか。あの瞬間は「来るな」と思ったんですけど、その後が記憶はあるんですけど、金縛りみたいな感じですよね。体が動かない。

–:「ゼロ化」ってやつなのかな?宇城武術で言うところの。あの日は、さっき言ってたみたいに組んでも大丈夫だと思ってたわけですよね。その前は。

清水:ああ、大丈夫だと思いました。行けるな、と思って。だから、だったらじゃあ顔にパンチを当てられなければ勝てるとは思いましたね。

–:藤松は最初からあの投げは出せなかったんですかね。本戦とかでは出せなかったのかな。

清水:まだすぐに使えるというレベルではなかったんでしょう。だってあれがすぐに思いのまま出せるんだったら、全部30秒で極めていけると思います。

–:ということは、あれは藤松にとってもやばい試合だったわけね。あそこでどうなるかわからなかったけど、出してみた訳だ。それで出来ちゃったと。

清水:出してみたという概念もなく出る技だから反応できない、ただあいつが負けるってイメージすることができない。人はイメージした事以上の事は絶対実現できないと加藤先輩も言ってるんですけど、自分もそう思うんですよ。やっぱり・・・

–:負けるイメージを持っていないの?

清水:多分そうです。自分の場合は絶対勝つ時って(例えばロバーツ戦、ラトビアのワンマッチ大会、アマキックの全日本)、負けるって意識が全くないんですよね。頭の中に。
(藤松は)一瞬も負けるって思ってない状態でやってるから勝つという結果のみなわけですよ多分。もう6年くらいですか、負けてないわけですよ。負け方も忘れちゃってるくらい。だから勝つっていうストーリーしかもはやないでしょうね。それも強さだと思いますね。大怪我もしたじゃないですか。覚悟が違うと思うんですよ。

–:あの怪我でどっかに行っちゃったのかな?別の世界に。

清水:強打が頭に当たったら命がなくなるかもしれないわけですからね。うちらとじゃやっぱり違うわけですよね。パンチに対する「避ける」っていう意識が。自分なんかはまあ、当たってもしょうがないかなってのはある。あんな怪我があると当たれないですからね。避ける動作ひとつとっても必死っていうか。違うんじゃないかと。
あのスタイルを批判する方には実際やって二発連続で当ててみてほしいです。ここで言った事も闘えば全部分かってもらえますから・・・。

2017年6月23日

Posted by 佐藤@那覇道場