御神託による長期休暇

門間理良の日々是空道

2017年12月27日からの比較的長い休暇が終わり、2018年1月9日に私は心新たに希望に燃えて出仕したのだが…

どうも体調が優れないのである。いくつも開かれた合議の間中、私はを口元に懐紙をあてながらゴホゴホしていた。

翌朝、目覚めてみると咳は相変わらずだし、体が熱っぽくだるい。

悪いものに憑かれたかと心が乱された私は、温水で体を清めるとご神託を伺うために神殿に赴いたのである。

神殿は拙宅から徒歩数分のところに建立されている。神殿内部は全体的に白を基調にしたシンプルな造りだ。

そこで神のために働く巫女たちもみな白衣姿できびきびとした動作で働いている。神に仕える喜びに満ち溢れている柔和な表情をたたえている。

控えの間に入るとご神託を待つ信徒が大勢いた。彼らは一様に悩みを抱えているらしく、ある者は苦し気にため息をつき、ある者は憂いの表情を見せていた。

しかし、どちらかというと若者よりもお歳を召された方々の方が、明るい表情で闊達に同世代の人と話しこんでいる。

神の御許により近づいた人たちほど憂いが少ないのであろうか。

彼らに尊敬の念を抱きつつ、そのような境地には依然達していない自分を恥じいりながら順番を静かに待っていると、ほどなくして巫女に名前を呼ばれ、奥の院へと招かれた。

簡素な丸椅子を勧められ腰かけると、神々しい白装束を纏った神官が現われ、私に向かってこう厳かに宣言した。

「この細い綿棒状のものを鼻に入れて、都合3回往復させる。ゆめゆめくしゃみなどせぬように…!」

神官が手ずから行うこの作業を受けている間、私は歓喜のあまり、涙と鼻水がでるのをこらえることができなかったことを告白しておこう。

くしゃみだけはなんとか我慢したが……。

一度控えの間に戻った私は、聖書(表紙に『週刊文春』と書いてあった)の第3章第4節(「淑女の雑誌から」と書いてあった)を読みながら、心静かにご神託が下されるのを待った。

10分ほどすると私は再び神官の元に召還された。

息をのんで畏まる私を神官は見据え、御神託を告げた。

「インフルエンザB型である」

かくして私の休暇は延長されたのである。