第25話:4級の審査を受ける(緑帯取得挫折編その1)

門間理良の黒帯への階段

 5級をいただいて3か月。6月に再び昇級審査がやってきた。

 私は痛いだの辛いだの、そういうことはできるだけ避けて通りたい口である。「願わくば、我に艱難辛苦を与えたまえ」などとんでもない! だが、こればっかりは受けて合格しなければ上にあがれないシステムだから仕方ない。
これではまるで悪魔が考え出したシステムではないか!

 そういえば確かこの頃だったと思うが、ビジネスマンクラスの中でも40歳以上は体力チェックが免除になった。それまでは100回をカウントする間に70回の拳立伏せおよびジャンピングスクワットを行うことになっていた(現在では50回となり、さらに条件が緩和された)。

 入門したての頃は、拳立伏せは61回、ジャンピングスクワットは71回しかできなかったが、この頃には拳立なら80回、スクワットは100回できるようになっていた。体力はかなり向上したことがわかる。おじさんの体力を見せ付ける機会が奪われてしまって残念で仕方がない。 😀

 そういえば、打撃に対しても、かなり耐性ができてきた。空道を再開した当初は、マススパーや審査が終わると痣だらけという状態だったが、最近はそういうことはほとんどなくなっている。ついてもうっすらと、という程度なので、すぐに消える。

 さて、審査だが、この日総本部に着いてみると思いのほか人数が少ない。話によると、今回は昇段審査を受ける先輩はいらっしゃらないとの由。となると、同レベルの人々との組手となるわけだ。東先生が松原先輩のアドバイスを受けながら対戦相手を決めている。結局私は草加支部の方と戦うことになった。

 昇段を賭ける方もいないこともあって、組手は意外と淡淡と進んでいく。あっという間に自分の番になった。「門間さんの相手の方は結構強いですよ」と、誰かが耳打ちしてくれた。まあ仕方がない。だが、実際戦ってみると…。

 お互いがけん制しながら突っ込みどころを探る展開になっている。これは空道ルールの間合いだ。どうやら5級獲得以後、基本ルールから遠ざかっているために、そういう間合いに慣れてしまったようなのだ。

 相手の方もそうらしい。気持ちを切り替えて、基本ルールでの戦いに切り替えて撃って出たが、なにか不完全燃焼のうちに、あっという間に時間が来てしまった。それは相手の方も同様だろう。ただ、耳打ちされたような、強さは相手からは感じられなかったのは幸いだった。

 松原先輩に後に伺ったところによれば、「門間さんの組手と波長が合わなかったのでしょうね。」とのことだった。それは良かった! 相手に合わせないことって重要なんですね。

 みなが一通り、1回ずつ組手審査を終えると、東先生から「緑帯を受ける者は、もう1回!」ということで、でることとなった。次の組手も草加支部からいらっしゃった別の方だ。

 それは「はじめ!」の声がかかるとほぼ同時のことだった。
 
 いきなり顔面に左フックが入ってきたのである! 
 
 「予想外です…」

 私はまともにそれを顔で受けてしまっていた。ダメージはまったくなかったので、一度仕切りなおしてすぐ続行だ。試合だったら、1ポイント稼げるな、と喜ぶところだが昇段審査がかかった審査ではないのでそういうことはとくに関係ない。
 
 先ほどの1回目の組手では、お見合いしてしまったので、今回は接近して打つよう心がけた。途中で私の右下段が入り、ものすごい音がして自分でも焦ってしまった(アホである)。松原先輩もそこで一度止めたが、それほどのダメージはないようなので一安心(アホの二乗である)。

 試合が再開された。試合終わりごろ、東先生から「門間、横を向くな!」の声が入った。注意を受けたが、そこを修正する間もほとんどないまま、組手は終わった。

 最初に対戦した方に「もしかして、顔面ルールでずっと稽古してませんでした?」と聞いたら、そうだとのこと。「私もです。なんか基本ルールの間合いじゃなかったですよね」などと笑い話みたいになった。

 この日の組手はほとんどの人が1回だけ。緑帯を受ける人だけが2回という、非常に「楽な」審査であったのだが…。

 数日して結果が出た。落ちたのである。しかも、総本部で私だけが…。

「予想外です……」

追記
まもなく終了なので、今回は前編後編二回にわたってお送りします。
お楽しみください。 😀

深草さん
虎ノ門に戻ってまいりました。良かったら飲みましょう :pint:
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