第70話:黒帯再挑戦記=その3=大団円

今回も私は6人連続組手である。

松原先輩より発表があった私の相手をしてくださるのは、格闘ルール2人、基本ルール2人、寝技2人だ。

格闘ルール1人目は黒帯が灰色に見えるほどになっている先輩だ。それだけでも怖い。しかも先輩は、早くからしっかりと面を装着してステップを踏んでいる。これはやばそう、と思っていたが仕方ない。

2人目の方は緑帯の方である。お名前はわからないが、審査会で以前お会いしている方だ。背は私のほうが高いが、体重は重そうだ。

ちなみに、最近私は久しぶりに会う人ごとに「痩せましたね」と言われている。体重は66kgをきっているかもしれない。

もちろんダイエットしていたわけではなく、痩せた原因は不明だ。

基本ルールは黄帯の方が2名。元気がよさそうだ…。これも怖い。

そして寝技は別の黒帯の先輩と、格闘ルールで相手をされた緑帯の方である。

審査は道場の前後に分けて同時進行となる。

前の方では佐藤先輩・糸屋支部長が審判を務めて植竹さん、深草さんの審査を、後ろの方では松原先輩が主審で伊東先輩が副審となり植野先輩の審査となった。

始まるころには多くの先輩が応援に駆けつけてくれている。仲田先輩や牧先輩、木下先輩、杉本先輩、松並先輩らもいらっしゃる。

遠藤先輩はセコンドについてくれるとおっしゃってくれた。こういう申し出は本当にありがたく、嬉しい。潮先輩も声をかけて励ましてくれた。

木下先輩は12月のときに私が昇段を受けるだろうと、酸素ボンベを通販でわざわざ購入してくださっており、今回それをもってきてくださった。杉本先輩も酸素ボンベを持参してくれた。

このときのことを思い出すと、いまブログを書いていても、胸が温かくなる。結局、遠藤先輩と杉本先輩がついてくれるセコンドについてくれることとなり、他の皆さんが応援に回ってくださることとなった。

植野先輩の4人組手が終わり、いよいよ私の組手が始まる。

遠藤先輩が面の紐を結んでくれた。

そして

「ペース配分は考えずに、最初からがんがん行きましょう」

とアドバイスしてくれた。

そのお気持ちは嬉しいのだが、今回私は自分のペースで戦うことを決めていたので、それははっきり申し上げた。

試合が始まった。前回の昇段審査ではこちらから殴りかかっていったが、今回こちらは不用意に仕掛ける気はない。

ただしなんとかなりそうだったらやるつもりではいた。早めに1ポイントを獲得していれば楽だからだ。

ステップを踏みながら相手を見つめると、先輩がかすかに頷いていらっしゃる。

「さあ、来なさい」

というわけだ。

その表情から先輩が私の攻撃の攻撃を受けてやるから技を見せてみろ、とおっしゃっているのがわかった。

ならば、ということで十分に警戒はしつつある程度いこうという気になった。

最近、攻撃パターンとして稽古していたのは、パンチからの膝蹴り、さらに接近してからの肘打ちであったので、これを試そうと考えた。

実際にタイミングを見てやってみると、これがけっこううまく入った。

もちろん先輩が、反撃しつつもこちらの技を引き出してやろうという気持ちがあったからできたのではあろうが…。

遠藤先輩や杉本先輩らのアドバイスが耳に届くのが嬉しい。

1試合目はあっという間に終わり、引き分けの判定。

黒帯の先輩相手だからこれはよしとしよう。怪我もない。

2試合目、向こうはやる気満々でくる。

それを2度ほど、例のストッピングで止める。蹴りの位置も相手の腹ではなく太ももの付け根や膝の上あたりだ。

これはうまくいった。隙を見て顔面を連打する。

遠藤先輩から「門間さん、アッパー!」という指示が聞こえた。

ヒットさせられなかったが、ある程度けん制にはなったようである。

途中では、練習していた右のミドルから右のストレートという変則的な攻撃も決まった。

主観的にはけっこう冷静に組手を進めている!

途中もみ合いにもなるシーンもあったが、このくらいは仕方あるまい。

これも引き分けで合計1点獲得。

さしたる顔面への攻撃を食らうことなく格闘ルールは終了した。

3試合目、4試合目は問題の基本ルールである。

これはあまり書くことがない。

お恥ずかしながら「押されっぱなし」状態である。

前回よりはかなりましなのだが、体力の消耗は激しい。

4人目の方はサウスポーだったので、みなから「左に回りながら攻めろ!」の声が聞こえる。

いちおう回りはするのだが相手が攻めてこられると体力の限界を露呈するかのごとく後ろに追い詰められてしまった。

試合が終わってマスクをはずしてもらったら、なんともこの段階で

「合格ポイントに達した!おめでとう!」

の声が!! 

そばにいた潮先輩に確認したら間違いないとのこと。

やった!!どうやら2試合とも引き分けということらしい。

合計2ポイント獲得だ。

そこで次なる問題が…。

松原先輩から

「もう合格点に達しているので、寝技やらなくてもいいんですが、どうします?」

かなり魅力的な提案ではある 😀 。

しかし、前回と比較すれば体力が残っていたこと、昇段をすでに決めていて精神的には楽に動けること、怪我をしていないこと、そしてなによりも、ここまできたら最後までやってやろう!という気持ちが強かったこともあり、

「やります!」 😡

と答えていた。

寝技に入るときはかなり体力を消耗していたが、それまでの間に遠藤先輩や杉本先輩がサポーターをはずしたりアドバイスをくれたりしてくれた。

そして寝技戦である。

1人目の緑帯の方との試合ではバックマウントの体勢をとることができた。

この姿勢からのマウントパンチも有効だったのをちゃんと覚えていたから、ここぞとばかりマウントパンチでアピール。

松原先輩から「有効!」の声が! これは嬉しかった。

後はひたすら守って1勝!

黒帯の先輩との戦いではかなり攻められた。

上になった戦いのときは、両膝を飛び越えてのマウント状態を狙ったが、それは阻止された。残念!

最後の最後では腕をとられそうになったりしたが、周りの皆の声援が耳に届く。

それを最後の力に変えて、なんとか45秒をしのぎきった。

どうやら1勝5分けか。それでも3.5点だから勝ち越しである。

立派なもんだ。

皆からの祝福は本当に嬉しかった。するとさらに嬉しい知らせがあった。

松原先輩から

「東先生のご判断で顔面の1試合は引き分けから勝ちに、基本の1試合は引き分けから負けに変更になりましたが、ポイントは変わらずで立派に昇段です」

と説明を受けた。

1敗はついたが2勝というのは、それはそれで気分が良い。

へろへろだった私は、田仲さんと戦っている植竹さんに声援を送ったが、審査が終わってしばらくすると頭がガンガン痛んできたのでうずくまって休んでいた。

「明日のジョーみたいに燃え尽きてますね」

と、こちらも昇段を決めた深草さんが声をかけてくれた。

頭は痛いが顔を殴られてはいなかったので、特に心配はしなかった。

そして整列、深草さん、植竹さんに続き私の名が呼ばれた。東先生から

「門間。3ポイントの持ち越しがあったが、6試合で3.5ポイント。昇段を認めます」

との言葉をいただいた。

心の中で「発表されたポイントは2.5だったんだけどなあ」という疑問はあったが、どのみち、それを使用せずに勝てたのだから、気分のよさは変わらない。

「押忍、ありがとうございます」

とお礼を述べると、皆から拍手をいただいた。

植野先輩は残念だった。ご本人は悔しいに決まっているのだが、それを隠して、まず私に対して、「本当におめでとう!」と笑顔で祝福してくださった。

ありがとうございます!

さて、昇段審査を終えての感想である。

【1】「ポイント有効活用」の戦略と「省エネ」の戦術は正しかった。

今回は持ち越しポイントがなくても昇段できたが、それはあくまでも結果としてそうだったということに過ぎない。

やはり、正確な戦略とそれに適合した戦術とを組み合わせることで、楽に昇段の組手を進めることができることが確認できた。

ストッピングの多用や間合いを取ることは有効だった。

【2】肘、膝を多用した攻撃は有効である

これは全員に当てはめることができるかどうかは検討を要するが、私は今回攻撃の場合パンチから膝、あるいは接近しての肘という作戦を多用した。

これはかなり効果的だったと感じている。

【3】顔面の防御ができていた

今回特筆すべきことは、顔面をほとんど殴られなかったということである。

これまでの組み手では、途中でいいのを食らったという自覚があったり、組手の時は気づかなくても終わってみるとあごが痛かったりというこということも時々あった。

今回はまったくそれがなかった。それなりにうまく対応ができていたのかも知れない。

もちろんここのところは、見ていた皆さんに判断してもらうしかないが…。

【4】基本ルールへの対処は課題

基本ルールのために、普段からやっていたのは、BCでのマススパーで基本ルールの方ともできるだけ多くマススパーをこなすことだった。

このときはそこそこ対応できていたが、やはり連続組手となると体力が非常に奪われて思考力も奪われる。

足を払って極めようともしたが、それは2、3度試みてすべて失敗に終わった。

最終的には肩でもなんでも押して押して押し捲り、「攻めているい格好をつける」ことが重要ではないかと思う。

それについては、セコンドの方と事前にごく単純な動きのアドバイスを飛ばしてもらうように打ち合わせておくことが重要である。

【5】悔いが残る寝技

こちらは1勝1分だったので、私としては上出来であった。

松原先輩だけでなく、伊東先輩や松並先輩らに指導していただいた成果もあったと感じている。

ただ、いま思い返してみると惜しかった場面が2度あった。

1つ目はバックマウントで効果を取ったときである。

その後の攻撃がまずかった。あのときは、すかさず帯をもって相手を持ち上げ、相手の胴体を巻くようにしながら両脚にこちらの脚をかけて体を伸ばしつつ絞め技にもっていくべきだった。

2つ目は、自分が下になった折のブリッジの仕方である。

1回目か2回目の時は失念したが、私が下になった折に、3度ほど連続してブリッジで相手をひっくり返そうとした場面があった。

そのとき、フェイントなどをかけて3度目は右に振るなどをすれば良かったのに、私は3回とも左方向へのブリッジしてしまった。これでは相手はどんどん対応がうまくなってしまうばかりだ。

【6】ダメージが少なかった今回の連続組手

今回の昇段審査は前回の昇段に失敗したときと比較すると、肉体的なダメージが非常に少なかった。これは、飲み会を終えて自宅に帰ってから気づいたことだった。

前回は6引き分けの3ポイント、今回は2勝1敗3引き分けの3.5ポイントで、ポイント差はわずかである。

基本ルールでは前回同様メタメタだった。

にもかかわらず、である。ほとんど肉体的な損傷がなかった。

2日程度は少し足を引きずってはいたものの、それはその後すぐに回復した。

前回は左脚筋肉の内出血が激しく、左足が紫色に変色したが今回は右のこぶしが多少紫色になった程度ですぐに回復した。

思い直してみると、今回も4試合目あたりからはメタメタ、ヘロヘロの状態ではあったものの、前回よりはずいぶんしっかりしていたように感じている。

でなければ、寝技の段階で1勝できなかったはずである。

このあたりも、実際に2回の昇段審査を間近で応援してくださった皆さんに検証していただきたい部分である。

以上が今回の昇段審査の報告です。

審査を終えてしみじみと感じたのは、この黒帯は決して自分1人の力で勝ち取ったものではなく、先輩や仲間全員の力をいただくことで、手にすることができたということです。

いままでご指導いただいた東先生、松原先輩、先輩の皆様、そして一緒に稽古を続けてきた皆さんがいてくれたからこその、今回のすばらしい結末を迎えることができました。

2006年4月27日に再入門から2010年3月13日に初段へ昇段。私は特に運動能力に優れていたわけでもなく、武道の立派な経験があったわけではありません。

普通の生活をしてきて40歳で空道を始めました。緑帯昇級のとき、初めての昇段審査のときには保留をいただきつつも、4年弱でここまでこぎつけました。

私にできたことを皆さんができないわけはありません!

あとに続くみなさんがこのブログを見て参考になるところがなにかあれば、こんなうれしいことはありません。

皆さん、本当にありがとうございました!

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