平安孝行「地方からの挑戦」(後編)

──:では長々インタビュー伺わせていただきましたけれども、村上先生にも、ちょっと。先生、最近、中部四国本部は、どんな感じですか。

村上支部長:押忍。相変わらずで、あの頑張っております。

──:今、何人くらいですか?
村上支部長:今、登録してるのは30人とかなんですけども、練習出てきてるのは毎回6、7名くらいで、やってますね。

──:今回の平安君について、どんなご感想を?

村上支部長:北斗旗大会が終わってから出稽古が多くて、なかなか練習が見れない感じで、どういう仕上がりになっているのかなーっていうのは、あったんですけど。昨日やっと見られて。調子があまりよろしくなかったみたいなんだけれども、スピードとか技術的なものは上がってるっていうことで。基本的に私は昔の人間なもので、技術的なものはないんでパワーみたいなものは付けて欲しいというのはあるんです。はい。

──:ウエイトでいうとどんな風に?

平安:ええ、パワーは大事だと思うんですけど、村上先輩はハイクリーンを勧めてくれるんですけど、なかなか時間がなくって出来てないんですけど。

──:長田先生だね、最初にハイクリーンがいいって仰ったのは。ロシアのボクシング選手はみんなハイクリーンやってるって。

村上支部長:大道塾でハイクリーン始めたのは私の方が早いの。

──:あ!先生の方が早い?!

村上支部長:んー僕の方が早いの。重量上げ部でしたから。

──:あーそうなんだ!そうですか!

村上支部長:ハイクリーン、スナッチ、ジャーク…

──:そうなんですか。いや、僕は、あまり走るのが好きじゃないのでハイクリーンやったら、スタミナもつくし、いいなーって。

村上支部長:ハイクリーンは、きちんとやれば、疲れが残らないものだからね。ただ、きちっとしたフォームでやらないと腰を痛めちゃう。だから、僕が見てる時にやってくれと言ってある。だいたいフォームはチェックしてるんで。腰で上げると思ったら腰痛めちゃうので足で上げるイメージで上げないとダメですね。足の反動で上げれば、それでいい。

──:なるほどなるほど。村上先生おすすめのパワー系のトレーニングは、他にどんなものがあるのですか?

村上支部長:僕は昔の人間で、腕立てとか、スクワットの数をこなすっていうのが自分の現役時代の練習パターン。自重で数をこなしていると怪我をしにくくなるんじゃないかなーみたいなことを道場生にも勧めておるんだけれども、彼(平安選手)自身には彼自身の練習法があってね。でも、アマレスとかの出稽古してて、そのお話を聞くと自重を使った反復動作っていうのをかなり練習の体系の中に入ってる、そういうのはプラスになってるんじゃないかなと思います。

平安:体操選手みたいな…あれは、すごくいいです。

村上支部長:あれは2ヶ月か、そこらやってれば出来るようになるんだよな。今、休憩の話がありましたけれども、僕の希望としては休息の時に後輩を指導するような形で、そういう形で上手く休息を取ってくれたら有り難いなーって期待してます。でも、なかなかな、現役だしな、余裕もないだろうから。

──:いや、僕らは、あの、やっぱり50になるとですね、硬くなってるので怪我をよくするものですから、インナーマッスル系のストレッチっていうかな、中の方のストレッチをしたい感じがしててですね。ウエイトは機械を動かすので、物動かしてる感じがしますでしょ?それに対して、自重でやるのは自分を動かすので、腕立て伏せの体勢で右手と左足を上げたり、互いにつかんで引っ張ったり、基本的にレスリング的なんですだけど、軽いのを僕らのビジネスマンではやってるんですよ。

村上支部長:いろんな角度で、力がかかるような練習をした方がいいでしょうね。ひっぱり合うのとかあるじゃないですか?あういうのを色んな角度でやるのがいいでしょうね。力のかかる練習をした方がいいでしょう。ウエイトトレーニングで特定方向を鍛えるのも大切な事なんだけれども、もうちょっと、筋肉をいろんな角度でいろんな負荷で使うっていうのは、すごくいいんじゃないかなーって。

──:でも一番の先生の注文はパワー系なんですか?それともねばりのある筋肉?

村上支部長:乱暴な事を言うけれども、同じ体格だったら、パワーじゃ負けない、国内では。とりあえず世界に出てしまったわけだから、という注文ですよね。それは、出来てないかって言ったら、目標に向かってちゃんと着実に頑張っていると思うんですけどね。だいたい、そればっかりだよな。パワー付けるパワー付ける、ハイクリーン、ハイクリーン…だよな?自分の指導は。

平安:はい・・。

村上先生:ま、でも頑張ってるし、だから同時に体のメンテナンスをしていかなきゃならんから、休息をしろと言って。言ってる側から「練習しろ、練習しろ」と言うから非常に自分自身が矛盾しとるんです。だいたい平安と一緒に車に乗ってる時、そんな話ばっかりだもんな。休息取ってるかー?体、大丈夫かー?とか、練習してるかー?とかみたいな(笑)。

──:なるほど

村上支部長:彼は、どう受け止めているかわからないけれど、端から見て甘やかしてるような感じがあるかもしれない。でもかなり厳しい事を言ってる自覚が多少、私の方はありますね。逆に厳しいこと言われないっていうのは期待されてないって事だろうから、期待してるって事でもあるんですけどね。

平安:そう、で・す・ね。評価はしてくれないけれども、甘やかしてもらってるなーって感じですね。競技の事では僕の実力とか何も認めてもらったことはないけど、その他の事で、すごい甘やかしを受けてます。

──:ちなみに先生の仰るパワーって、初期の大道塾では常識だったんですか?

村上支部長:だから、初期の大道塾っていうか、僕とかの年代だと、やはり数をこなすんだっていうのが非常に強かったですよね。だから、僕、ウエイトトレーニングを勧めるんだけど、一方でウエイトは邪道だみたいな気持ちもあって、自重でしっかり練習するのが大切だよって指導するようになってますね。
あとは、ハイクリーンとかの全身のバネを養成するのが意味があるだろうと。ぎりぎりの瞬発力っていうか。立ち技系でも投げ技系でも要はぎりぎりの瞬発力っていうのは大切だろうから、ハイクリーンとかで養われる培われるものっていうのは重要だと思います。それぐらいかな?…技術はねえ、出稽古とか自分なりに工夫して、やってると思うんで、あとは個人のセンスでいろんなところから吸収してきているものを自分なりに組み立てていくという作業を通じて、平安なりのスタイル、平安なりの極意っていうのがあるはずですから、作っていけばって思います。

──:ま、個別に競技やってるだけだとね、それだけに流れるところってあるから、ちょっとあえて引いて、空道に合わせて全体との関係を見たり、枝葉を切ったり、剪定作業をしなくてはならないね。

平安:はい。

──:剪定しても、切った技術はどこかに収めておくと。

村上支部長:練習で使えない技術とか技とかも、どんどん練習したほうがいいと思うよ。やっぱり体の能力、身体能力になりますからね。たとえば、跳び蹴りっていうのは、普通使わないけれども、あれはバネとかの能力とかなるからね。

──:どうですかね、最近、総合系やキックでも飛び膝使いが出てきたけど、空道は、まだ出てきてないね。

平安:そうですよね。

──:使えるんじゃないの?

村上支部長:ちゃんと跳べないと使えないから、そういうバネを作るのよ。

平安:それはちょっと・・・違うような・・。実は先輩とかに、松原先生にベラベラ喋るなよって言われてたんですけど、技術については。…あの○○○で、こう…膝をポーンとくらってみて失神しかけたんですけど、打撃ってわかんないところから貰ったら、たいてい失神するじゃないですか?

村上支部長:予備動作とフェイントについて、話してるんか?

平安:予備動作がなければないほうがいいんですけど、それ以上に大事なのは、相手をその状態に持っていけるかどうかということで・・。

──:ボクサーってさ、ローもらって異常に効く人っているじゃない?あれ、やっぱり体の重心の置き方の違いじゃないかと思うな。腿に力を入れないでパンチを打つ人だと、ローで腿が切られるみたいになるから。柔道家もね、異常に効くんですよ。ローが。

平安:へぇ、そうなんですか。

──:極真みたいにもらった瞬間に体を下げなきゃいけないのに、逆に上げてるのかな?女性で非力な一号君が、僕の大学の教え子で柔道もやっている奴にローをかましたら、一週間足をひきずってました。ボクサーでもなかなか修正できない人はいます。修正すると今度パンチが打てなくなるから。
まあ、そんなこんなで。本日は平安選手、村上支部長、貴重なお話をありがとうございました。試合、がんばって下さいね。

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(途中から、「お好み焼きビル」に場所を移動して。)

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Posted by 佐藤@那覇道場